そよ風に揺れる、艶やかで小さな葉。涼しげで、どんな家の雰囲気にもマッチするその姿から、シンボルツリーとして絶大な人気を誇る「シマトネリコ」。常緑樹で育てやすいことから、「庭木を植えるなら、まずはシマトネリコから」と考えている方も多いのではないでしょうか。
その柔らかな見た目の印象とは裏腹に、シマトネリコは非常に生命力が強く、
驚くほどのスピードで成長することをご存知でしたか?
「育てやすいと聞いて植えたのに、数年で大きくなりすぎて手に負えなくなった…」
「どうやって剪定すれば、おしゃれな樹形を保てるの?」
といった声は、実は非常によく聞かれる悩みです。
間違った育て方や剪定は、シマトネリコ本来の魅力を損なうだけでなく、手に負えない大きさにしてしまう原因にもなりかねません。
この記事では、そんなシマトネリコの育て方について、植え付けの基本から、日々の水やり・肥料の管理、そして最も重要な「剪定」のやり方まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。この記事を読めば、シマトネリコの成長を楽しみながら、美しく健康な状態を長く保つための、確かな知識が身につきます。
シマトネリコの育て方の前に知りたい!人気の理由と基本情報

なぜ、これほどまでにシマトネリコは人気なのでしょうか。その魅力と、育てる上で知っておくべき基本的な特徴をご紹介します。
庭木としてシマトネリコが選ばれる3つの理由
- 涼しげでおしゃれな見た目: 小さく光沢のある葉が密に茂り、洋風・和風どちらの庭にも合う、軽やかでスタイリッシュな印象を与えます。
- 一年中緑を楽しめる常緑樹: 冬でも葉を落とさないため、一年を通して庭の目隠しや彩りとして機能します。
- 丈夫で育てやすい: 病害虫にも比較的強く、日本の気候にも合っているため、初心者でも育てやすいとされています。
「シマネトリコ」と「シマトネリコ」の違いとは?
これは、多くの方が疑問に思う点ですが、「シマネトリコ」は「シマトネリコ」の誤記や、覚え違いであることがほとんどです。植物学上の和名は「シマトネリコ」が正しく、一般的に同じものを指しますので、ご安心ください。
育てる上での最大のポイントは「驚きの成長スピード」
シマトネリコは、環境が合えば1年で1m近く成長することもあるほど、非常に成長旺盛な樹木です。この成長の早さが、早く目隠しにしたい場合にはメリットになりますが、大きさを維持するためには「定期的な剪定が不可欠」であることを、育てる前に必ず理解しておきましょう。
【シマトネリコの育て方:基本編】植え付けと日々の管理

シマトネリコを元気に育てるための、最初のステップです。植え付け場所から、日々の基本的なお世話について解説します。
植え付けの場所と時期の選び方
- 場所: 日当たりと風通しの良い場所を好みます。成長後の大きさを考え、建物や他の木から十分な距離をとって植えましょう。
- 時期: 根が活着しやすい、春(3月〜5月)か、秋(9月〜10月)が植え付けの最適期です。
水やりと肥料の与え方
水やり
地植えの場合: 植え付け後、根付くまでの1年程度は、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。根付いた後は、真夏の乾燥が続く時期以外は、基本的に自然の降雨だけで十分です。
鉢植えの場合: 土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。
肥料: もともと生命力が強いため、たくさんの肥料はいりません。与えすぎると、かえって枝葉が間延びして樹形が乱れる原因になります。春先の新芽が動き出す前(2月〜3月頃)に、緩効性の有機肥料などを少量施す程度で十分です。
【シマトネリコの育て方:剪定編】美しい樹形を保つやり方

なぜ剪定が必要?目的と最適な時期
- 目的: ①大きくなりすぎるのを防ぐ(サイズ管理)、②枝葉の量を減らして風通しを良くする(病害虫予防)、③不要な枝を取り除き、美しい樹形を維持する、という3つの大きな目的があります。
- 時期: 本格的な剪定は、成長が少し落ち着く6月〜7月頃か、休眠期に入る前の11月頃が最適です。真夏や、新芽が勢いよく伸びる春先の強剪定は、木を弱らせるため避けましょう。
初心者でもできる基本の剪定のやり方
- 透かし剪定: 混み合っている部分の枝を、枝分かれしている付け根から切り取り、風や光が通り抜けるようにします。木の内部が蒸れるのを防ぎます。
- 切り戻し剪定: 長く伸びすぎた枝や、樹形を乱している枝を、途中で切り詰めて短くします。
- 不要な枝の除去: 枯れている枝、内側に向かって伸びている枝、他の枝と交差している枝などを優先的に切り落とします。
【最重要】安全に剪定作業を行うための注意点
- 脚立の利用: 高い場所の枝を切る際は、必ず安定した脚立を使用し、無理な体勢での作業は絶対にやめてください。
- 保護具の着用: 手を切らないように、必ず作業用の手袋を着用しましょう。また、切り口から出る樹液や、細かな木くずから目を守るため、保護メガネの着用を推奨します。
- 【専門家への依頼】 ご自身の身長を超える高さの剪定や、太い枝を切り落とす作業は、重大な事故につながる危険性があります。少しでも「危ない」と感じたら、無理をせず、必ずプロの造園業者や植木屋さんに依頼してください。
シマトネリコのよくあるトラブルと対策
葉が落ちる・黄色くなる原因は?
- 水切れ・根詰まり(鉢植え): 鉢植えの場合、水切れや、鉢の中で根がいっぱいになる「根詰まり」が原因であることが多いです。
- 環境の変化: 購入直後や、植え替え直後に葉を落とすことがありますが、環境に慣れれば落ち着くことがほとんどです。
- 自然な新陳代謝: 常緑樹ですが、春先に新しい葉が出ると同時に、古い葉が黄色くなって落ちることがあります。これは自然な現象です。
気をつけるべき病害虫と対策
- 害虫: スズメガの幼虫(イモムシ)や、カイガラムシが付くことがあります。見つけ次第、手で取り除くか、被害がひどい場合は、植物用の殺虫剤を使用します。
- 病気: 風通しが悪いと、葉が黒いススで覆われたようになる「すす病」が発生することがあります。原因となるカイガラムシなどを駆除し、剪定で風通しを良くすることが対策になります。
【引用】樹木の健全な育成における剪定の重要性
根拠データの引用: 公園の樹木管理など、専門的な分野でも剪定の重要性は広く認識されています。
「(一財)日本緑化センターの資料では、都市部の樹木管理において、適切な剪定は、樹木の健全な生育を促し、病害虫の発生を抑制するだけでなく、台風などの強風による倒木や落枝のリスクを低減させ、公共の安全を確保する上でも不可欠な作業である、と位置づけられています。」
【商品紹介】シマトネリコの育て方に役立つアイテム
剪定バサミ
- メリット: シマトネリコの剪定には必須。切れ味の良いハサミを使うことで、切り口がきれいになり、木のダメージを最小限に抑えられます。マキタの充電式剪定鋏は非常に楽に操作できサクサクっと作業が進みます。
- デメリット: 高価であるため購入に躊躇する
緩効性の有機肥料
- メリット: ゆっくりと時間をかけて栄養が溶け出すため、根を傷める「肥料焼け」のリスクが少なく、初心者でも安心して使えます。土壌改良効果も期待できます。
- デメリット: 化学肥料に比べて、効果が穏やかです。
まとめ
今回は、人気の庭木「シマトネリコ」の育て方について、その基本から最も重要な剪定のやり方までを詳しく解説しました。
- シマトネリコは、おしゃれで育てやすい人気の庭木ですが、非常に成長が早いという特徴があります。
- その旺盛な成長をコントロールし、美しい樹形を保つためには、定期的な「剪定」が育て方の最大のポイントです。
- 日当たりと風通しの良い場所に植え、肥料は控えめに、水やりは「乾いたら、たっぷりと」が基本です。
- 剪定は、混み合った枝を付け根から切る「透かし剪定」と、伸びすぎた枝を短くする「切り戻し剪定」を組み合わせます。
- 【最重要】高い場所や太い枝の剪定は、決して無理をせず、必ず専門の業者に依頼してください。安全が第一です。
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