【最重要】はじめにお読みください(免責事項)
本記事で紹介するハッカ油スプレーは、虫を寄せ付けにくくすることを目的とした「虫除け(忌避剤)」です。**虫刺されの治療や、肌の炎症を抑える効果を謳うものでは一切ありません。**また、ペットや小さなお子様がいるご家庭での使用には、細心の注意が必要です。本記事の内容は、安全性を保証するものではなく、使用に関するいかなるトラブルについても責任を負いかねます。ご自身の判断と責任において、安全に十分配慮した上でご活用ください。
イントロダクション
庭仕事や網戸の掃除、玄関の出入りの際に、気になる夏の虫。できれば化学的な殺虫剤は使わずに、自然なもので対策したい、と考えている方も多いのではないでしょうか。そんな方に人気なのが、スーッとした清涼感のある香りが心地よい「ハッカ油スプレー」です。
手作りできると聞いて、挑戦してみたいけれど、「作り方がよくわからない」「材料は何を揃えれば?」「わざわざ精製水を買わなくても、家の水道水で作れないの?」といった疑問が次々と浮かんできますよね。
ご安心ください。ハッカ油スプレー作りは、ポイントさえ押さえればとても簡単です。しかし、その手軽さゆえに、使い方や保管方法を間違えると、効果がなかったり、思わぬトラブルの原因になったりすることも。
この記事では、誰でも失敗しないハッカ油スプレーの基本的な作り方から、気になる「水道水を使っても良いのか?」という疑問への明確な答え、そして安全に使うために絶対に知っておくべき注意点まで、徹底的に解説します。この記事を読めば、あなたも自信を持って、安全で効果的なハッカ油スプレーを作れるようになります。
ハッカ(薄荷)とは?

一言でいうと、ハッカとは非常に強い清涼感(スーッとする感じ)を持つ、ミントの一種です。
私たちがお菓子や歯磨き粉などで慣れ親しんでいる「ミント」には様々な種類がありますが、その中でも特に日本で古くから栽培され、利用されてきたのが「ニホンハッカ(和種ハッカ)」です。一般的に「ハッカ」という言葉は、このニホンハッカを指すことが多いです。
ハッカの最大の特徴「メントール」
ハッカが持つ、あの独特のスーッとした爽やかな香りと感触は、「L-メントール」という成分によるものです。
ニホンハッカは、ペパーミントやスペアミントといった西洋のミント類に比べて、このメントールの含有量が非常に高いのが最大の特徴です。そのため、ハッカから抽出された「ハッカ油」は、少量でも非常に強い清涼感を感じさせます。
日本での歴史と主な用途
ハッカは、日本では古くから生活に密着したハーブでした。特に北海道の北見地方は、かつて世界のハッカ市場の約70%を生産したこともあるほどの一大産地でした。
その強い清涼感と香りから、以下のような幅広い用途で利用されています。
- 虫除けとして: 前回の話題のように、多くの虫が嫌う香りとして、虫除けスプレーなどに活用されます。
- 食品の香料として: キャンディーやチョコレート、ガム、飲み物などの香料として使われます。
- 香料・アロマとして: その爽やかな香りは、気分をリフレッシュさせたい時のアロマや、化粧品、入浴剤などにも利用されます。
- 生活の知恵として: 昔から、暑い日には涼感を得るため、また眠気覚ましや気分転換したい時にその香りを嗅ぐなど、様々な場面で活用されてきました。
ハッカ油スプレー作り方の前に知っておくべき3つの基本

手作りを始める前に、ハッカ油スプレーがどのようなもので、どんな点に注意すべきか、基本的な知識を身につけておきましょう。
なぜハッカ油は虫よけとして期待されているのか?
- 虫が嫌う「メントール」の香り: ハッカ油の主成分である「L-メントール」の強い清涼感のある香りを、カメムシやアブ、蚊、ブヨ、ゴキブリ、蜘蛛など多くの虫が嫌う性質がある、と言われています。
- 「殺虫剤」ではなく「忌避剤」: あくまで虫を「殺す」のではなく、「寄せ付けにくくする」ためのものです。この違いを理解しておくことが重要です。
ハッカ油スプレーの得意なこと・苦手なこと
- 得意なこと: 網戸や玄関、ゴミ箱周りなど、特定の場所にスプレーして虫を遠ざけること。清涼感による消臭効果やリフレッシュ効果。
- 苦手なこと: 効果の持続時間(香りが飛ぶと効果が薄れる)。風が強い屋外での使用。全ての虫に効果があるわけではないこと。
【最重要】安全に使うために絶対に守るべき注意点
- 肌への直接噴霧は避ける: 肌が弱い人は刺激を感じることがあります。衣類や帽子、網戸などに使用するのが基本です。
- ペット、特に猫のいる環境では使用しない: 猫はハッカ油の成分を体内で分解できず、中毒症状を起こす危険性があるため、猫のいるご家庭での使用は絶対に避けてください。犬や他のペットについても、使用前には獣医師への相談をおすすめします。
- 特定の素材への使用注意: ポリスチレン(PS)や一部の塗装面は、ハッカ油の成分で溶けたり変質したりする可能性があります。
- 火気厳禁: 作成時に使用するエタノールは引火性です。火の気のない場所で作業してください。
【実践】ハッカ油スプレーの作り方|水道水と精製水の徹底比較

お待たせしました。実際にハッカ油スプレーを作っていきましょう。写真付きで解説するイメージで、わかりやすく手順を説明します。
スプレー作りに必要な材料と道具
- 材料:
- ハッカ油: 健栄製薬や北見ハッカ通商などの製品が有名。ドラッグストアで入手可能。
- 無水エタノール(または消毒用エタノール): 油であるハッカ油と水を混ぜるために必須(乳化剤の役割)。無水エタノールが最も混ざりやすい。
- 水(水道水または精製水): 後ほど詳しく解説。
- 道具:
- スプレーボトル: 100ml程度のもの。ポリスチレン(PS)製を避け、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ガラス製などを選びましょう。
混ぜるだけ簡単!基本のハッカ油スプレーの作り方レシピ(100ml分)
- スプレーボトルに「無水エタノール 10ml」を入れます。
- そこに「ハッカ油 20滴〜40滴(約1〜2ml)」を垂らし、ボトルを振ってよく混ぜ合わせます。※最初は少ない量から試すのがおすすめ。
- エタノールとハッカ油が混ざったら、「水 90ml」を加えて、再度ボトルを優しく振って混ぜ合わせれば完成です。
- ボトルには、作った日付と「ハッカ油スプレー」であることを明記したラベルを貼りましょう。
水道水でもOK?精製水を使うメリットと、作り方のポイント
- 水道水で作る場合:
- メリット: 手軽でコストがかからない。
- デメリット: 塩素や不純物が含まれているため、劣化が早い。雑菌が繁殖する可能性がある。
- 結論: 「1週間程度で使い切る」のであれば、水道水でも問題ありません。
- 精製水で作る場合:
- メリット: 不純物を含まないため、劣化しにくく、比較的長く(約1ヶ月程度)保存がきく。
- デメリット: ドラッグストアなどで購入する必要がある。
- 結論: 「作り置きして、長めに使いたい」のであれば、精製水の使用を強く推奨します。
【活用術】家中で大活躍!ハッカ油スプレーの効果的な使い方
完成したハッカ油スプレーを、様々なシーンで活用してみましょう。
玄関・網戸・ベランダに。蜘蛛やカメムシを寄せ付けない使い方
- 虫が侵入してきやすい網戸の枠や、玄関のドア周り、蜘蛛が巣を張りやすい軒下などに、1日数回スプレーします。香りがバリアの役割を果たします。
庭仕事やアウトドアでの帽子の虫よけとして
- 帽子のツバや、首に巻くタオル、作業着の袖口や裾などにスプレーします。肌に直接つけないのがポイントです。
【商品紹介】作るのが面倒な方へ!おすすめの市販ハッカ油スプレー
北見ハッカ通商「ハッカ油スプレー」
- メリット: ハッカ油の代名詞とも言える有名ブランド。上質で天然の爽やかな香りが特徴。すでにスプレーになっているので、買ってすぐに使えます。
- デメリット: 自作するのに比べて、ややコストはかかります。
健栄製薬「ハッカ油P」
- メリット: こちらもドラッグストアで定番の製品。スプレータイプだけでなく、滴下タイプのボトルもあり、スプレー作りやアロマ、お風呂など、様々な用途に使いやすい。
- デメリット: スプレータイプでない場合は、別途ボトルや材料を揃える必要があります。
まとめ
今回は、自然由来の成分で安心して使える「ハッカ油スプレー」の作り方と、その活用法について詳しく解説しました。
- ハッカ油スプレーは「殺虫」ではなく「忌避(きひ)」が目的の虫除けです。
- 作り方は「エタノール」「ハッカ油」「水」を混ぜるだけと非常に簡単です。
- 水は、1週間以内に使い切るなら「水道水」でOK。長期保存したい場合は「精製水」を使いましょう。
- ペット(特に猫)への使用は大変危険です。肌への直接使用や火気など、安全上の注意点を必ず守ってください。
- 本スプレーは虫除け用です。万が一、虫に刺されてしまった場合は、治療目的で使用せず、速やかに医療機関にご相談ください。
手作りのハッカ油スプレーは、虫よけとしてだけでなく、その爽やかな香りで気分をリフレッシュさせてくれる効果も期待できます。まずは少量から、水道水で気軽に作ってみてはいかがでしょうか。
正しい知識で安全に活用し、快適な夏をお過ごしください。
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