虫が苦手な人にこそおすすめしたい「虫がつきにくい常緑樹」
庭づくりを始めるとき、多くの人が「常緑で手入れが楽で、虫がつきにくい木がいい」と考えるのではないでしょうか。特に玄関先やリビングの前に植えるシンボルツリーは、見た目の美しさだけでなく、虫害の少なさや維持管理のしやすさも重要なポイントです。
虫に悩まされた経験がある方にとって、「庭に緑を増やす=虫を増やす」というネガティブなイメージがつきまといがちですが、実際にはそうしたリスクを最小限に抑える樹種選びも可能です。本記事では、シンボルツリーとして人気のある常緑樹の中でも、虫がつきにくい品種を厳選してご紹介します。選び方や育て方のポイントはもちろん、重曹を使ったナチュラルな除草・虫除け対策まで徹底解説します。
虫がつかない常緑樹のシンボルツリーとは?

虫がつきにくい=完全無害ではない
まず大前提として、どんな植物であっても虫がまったく寄りつかないということはありません。しかしながら、被害を受けにくい性質を持つ植物は存在します。例えば、葉が硬く厚みのあるもの、精油成分を含み香りの強い葉を持つもの、乾燥した環境でも元気に育つものは、害虫から敬遠されやすいとされています。
さらに、樹皮がつるつるしている樹種は、カイガラムシなどが定着しにくい傾向があります。これらの特性を理解することで、虫の発生を最小限に抑えつつ、美しい庭を保つことが可能になります。
常緑樹のメリットとデメリット
常緑樹は年間を通じて緑の葉を維持し、四季を問わず安定した景観が得られる点が魅力です。特に住宅街では、隣家との目隠しや防音効果も期待できることから、シンボルツリーとしてのニーズが高まっています。
一方で、葉が密集することにより、風通しが悪くなり害虫の温床になる場合もあります。そのため、虫がつきにくい性質の常緑樹を選ぶことが重要です。さらに、成長スピードや剪定のしやすさ、落葉の有無なども選定の際にチェックすべきポイントとなります。
具体的な樹種例
虫がつきにくく、シンボルツリーとして人気の高い常緑樹には以下のような品種があります。
- ソヨゴ(雄株):成長がゆっくりで害虫がつきにくく、目隠しにも向いています。
- オリーブ:葉が硬く乾燥にも強いため虫が少ない。銀緑色の葉もおしゃれです。
- フェイジョア:実も食べられる南国風の木で、比較的病害虫に強い。
- ナンテン:縁起物として人気。病害虫に強いが、実が多く落ちやすいため管理に注意。

除草と虫除けを両立する方法:重曹を活用した対策

除草における重曹の使用例とその効果
重曹(炭酸水素ナトリウム)は、掃除や脱臭に使われることでも知られていますが、実は雑草対策にも有効です。重曹水を雑草の葉面に噴霧することで、葉から水分を奪い、光合成を阻害して枯死させる働きがあります。この作用により、短期間で見た目にもわかる効果が得られるため、雑草が再生する前に取り除く作業がしやすくなります。
特に庭の舗装部分やコンクリートの隙間から生える草には非常に効果的で、農薬を使いたくない方にもおすすめです。また、ペットや子どもが遊ぶスペースに近い場所でも比較的安心して使用できるのが特徴です。ただし、効果を最大限に発揮させるには、雑草が若いうちに処理することがポイントです。重曹は浸透圧の差を利用して水分を奪うため、葉が大きく成長してしまったものには効きにくくなる場合があります。
重曹の濃度と塩害リスクについて
重曹は「塩」に近いアルカリ性物質であり、使用濃度を誤ると植物に塩害のような影響を及ぼすことがあります。濃度の目安は0.1〜0.5%(水1リットルに対して重曹1〜5g)。これ以上の濃度では、雑草だけでなく目的の植物にもダメージを与えるおそれがあります。
また、連続使用によって土壌にナトリウムが蓄積すると、地力の低下や他の植物の生育阻害を招く可能性があります。ナトリウムは土壌の保水性や通気性を損ねるため、植物が必要とする養分や水分をうまく吸収できなくなる恐れもあります。
そのため、除草後には水をまいてナトリウムを流す「フラッシング」処理を行うと安心です。さらに、使用頻度を月1回以内に抑える、雨の直前には使わないなどの運用ルールを守ることで、リスクを大幅に軽減することができます。
常緑樹への影響と注意点
重曹による除草を常緑樹と併用する場合は、木の根元や根系周辺を避けて使用することが必須です。特に広がりやすい根を持つ種類では、根から重曹を吸収し、吸水障害を起こす危険性があります。重曹のアルカリ性が根に接触することで、根の細胞膜が傷つき、必要な水分や栄養分を取り込めなくなるリスクもあるため注意が必要です。
安全に使うためには、葉に直接かからないようにスプレーノズルを調整したり、風の強い日は避けたりするなど、丁寧な対応が求められます。また、散布後に周囲の土壌の様子や常緑樹の葉色、成長具合を定期的に観察することで、万が一の障害を早期に発見することができます。場合によっては、ナチュラル除草剤や熱湯を使うなど、他の選択肢も併用するとよいでしょう。
実際におすすめできる虫がつきにくい常緑樹
ソヨゴ(雄株)
- 害虫被害が比較的少なく、成長がゆっくりで手入れも楽。
- 雌株は実がなるため掃除が必要になる点に注意。
- シンボルツリーとして玄関脇や庭の目隠しに人気。

オリーブ
- 乾燥に強く、比較的病害虫に強い。
- 銀葉が映えるので洋風住宅とも相性抜群。
- 根が浅く倒れやすいため支柱や強風対策が必要。

フェイジョア
- 実も楽しめる南国系の木。甘くて香り高い果実が魅力。
- 害虫被害が少なく、剪定で形を保ちやすい。
- 暑さや寒さにも比較的強く、育てやすい。

ナンテン
和風の庭や玄関アプローチに特におすすめ。
病害虫に非常に強く、管理が簡単。
冬でも赤い実と葉色で庭を彩る美しい常緑低木。
実が多く落ちやすいため、落果の掃除に注意が必要。

虫がつきにくい常緑樹の比較表
樹種 | 特徴 | 成長速度 | 害虫のつきにくさ | 管理のしやすさ |
---|---|---|---|---|
ソヨゴ(雄株) | 成長が遅く手入れが簡単。実がならない。 | 遅い | ◎ | ◎ |
オリーブ | 銀緑色の葉が美しい。乾燥に強く洋風住宅に合う | 普通 | ◯ | ◎ |
フェイジョア | 実が食べられる。病害虫に強く剪定しやすい | 普通 | ◎ | ◯ |
ナンテン | 病害虫に強い縁起木。実が多く落ちる点に注意 | 遅い | ◎ | ◯ |
よくある質問(FAQ)
Q1. 完全に虫がつかない木はありますか?
A. 残念ながら、完全に虫がつかない木は存在しません。ただし、被害が極めて少ない、いわゆる「虫が寄りにくい」性質を持った木は複数あります。例えば、ソヨゴ(雄株)やオリーブ、フェイジョア、ナンテンなどがそれに該当します。これらの樹種は、葉が硬かったり、香り成分を含んでいたりするため、虫が定着しづらい傾向にあります。また、定期的な観察と剪定、風通しの確保といった環境管理を行えば、さらに虫害のリスクを減らすことが可能です。
Q2. 除草剤と常緑樹は併用していいの?
A. 除草剤の成分によります。重曹のような天然素材を使った除草剤であれば、常緑樹への影響は比較的少なく、安全に併用できるケースが多いです。ただし、強力な化学成分を含む除草剤の場合は、常緑樹の根系や葉に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。特に若木や根が浅い種類では、薬剤がしみ込むことで成長不良や枯死の原因になることもあります。安全に併用するには、散布場所やタイミング、使用濃度を厳密に守ることが重要です。
Q3. ソヨゴとシマトネリコの違いは?
A. ソヨゴは常緑樹で成長が遅く、剪定の頻度が少ないため管理しやすく、虫がつきにくいという特徴があります。主に和風・ナチュラルテイストの庭に合い、目隠しやアクセントとして人気です。雄株を選べば実も落ちず、掃除の手間も少なく済みます。一方で、シマトネリコは成長が非常に早く、剪定を怠るとすぐに大きくなってしまいますが、葉が涼しげで明るく、洋風住宅にもよく合います。ただし、害虫(アブラムシやカイガラムシ)に悩まされることもあるため、定期的な手入れが必要です。
Q4. フェイジョアの実は本当に食べられる?
A. はい、フェイジョアの実は食べられます。熟すとパッションフルーツや洋ナシのような甘くさわやかな香りを放ち、果肉はスプーンですくってそのまま食べることができます。また、ジャムやスムージー、果実酒などに加工することも可能です。果実だけでなく、初夏に咲く赤い花びらも食用にでき、ほんのり甘くてサラダやスイーツのトッピングに使われることもあります。実用性と観賞性を兼ね備えたシンボルツリーとして非常に魅力的です。
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