イントロダクション|草刈り中に突然エンジンが止まる?

「エンジンが急に止まって作業にならない…」そんな経験はありませんか?
刈払機のエンジン停止は、初歩的な不具合から部品の故障まで、実にさまざまな原因が考えられます。特に夏場や長時間作業では発生しやすく、故障と誤解されがちです。
この記事では、エンジンが止まる主な原因とその対処法を徹底的に解説。さらに、プロも行う予防策や実際の修理例、信頼できる資料も交えながら、初心者にもわかりやすくご紹介します。

エンジンが停止すると、仕事にならずにイライラしてしまいますね



自分でできることもあるからチェックしてみてね
エンジンが止まる主な原因とは?チェックリスト
燃料系トラブル(供給の問題)
- 混合比の誤り(2スト機):オイルとガソリンの比率が正しくないと、燃焼に必要な成分が不足し、パワー不足や失火につながります。
- 燃料の劣化:長期間保存されたガソリンは揮発性が低下し、うまく点火しません。特に夏場や高温時期は変質が早まります。1か月前に混合したオイルはすでに劣化が進んでいる可能性があります。
- タンク内のゴミ・水分混入:キャップの開け閉め時に湿気やチリが入り込み、燃料フィルターや燃料通路やキャブレターの詰まりを引き起こすことがあります。
- キャブレター調整不良:低速・高速ではエンジン内へ送り込む燃料の量が異なります。調整不良になると途中で停止する現象が発生します。
点火系トラブル(火花の問題)
- スパークプラグの劣化・カーボン付着:繰り返し使用することでプラグが汚れ、火花が飛ばなくなります。火が飛ばなければエンジンはかかりません。スパークプラグがメーカー指定のものになっているか、焼け具合は適度なものなのかを把握することが重要となります。NGKのHPでスパークプラグの基礎知識を紹介されていますので是非チェックしてみてください。
- イグニッションコイルの異常:プラグに電圧を供給する重要な部品。内部断線や抵抗値異常があると、点火タイミングがズレたり不安定になります。また、スパークプラグにつながるコードも重要な役割をしていますので、断線や短絡はよく確認する必要がありますが、専門の知識がないと難しいかもしれません。
吸気・排気系の詰まり(呼吸ができない)
- エアフィルターの目詰まり:空気の取り込みが不足し、燃料と空気の混合比が崩れるため、燃焼が不安定になります。だからと外して使用してしまうとさらなる故障を招きます。
- マフラーの詰まり・排気不良:エンジンの中で燃焼したガスがうまく出ないと、排気圧が上がって再点火しにくくなります。特に防火網やサイレンサーの詰まりは盲点です。
冷却不足・オーバーヒート(熱ダメージ)
- シリンダーフィンの目詰まり:草くずや泥、ホコリが冷却部分に付着し、エンジンの温度が異常に上昇します。
- 連続高負荷運転・炎天下での作業:夏の猛暑や湿度の高い場所での長時間作業は、オーバーヒートを引き起こし、エンジンの強制停止や部品焼損の原因になります。近年の温度上昇が原因と思われる現象が起きています。特に太陽光設備の熱のこもりそうな場所でよく起きているという話も聞きます。
状況別にみる「止まり方」の違い
エンジンが止まるタイミングによって、故障の原因をある程度絞ることができます。以下のように“いつ止まるか”でチェックポイントが変わります。
症状 | 想定される原因 |
---|---|
始動後すぐに止まる | 燃料不良/プラグ不良/エア混入/燃料経路の詰まり |
作業中に止まる | 過熱/エアフィルター・マフラー詰まり/点火系の不具合 |
加速中にストールする | 燃料供給不足/キャブレターのゴミ詰まり/負荷のかかりすぎ |
停止後に再始動しづらい | オーバーフロー(キャブ内部の燃料過多)/スパーク不良/熱ダレ/キャブ内部部品 |


自分でできる点検ポイントと対処法
燃料の交換・補充
- 使用期限(1ヶ月以内推奨)を過ぎた古いガソリンは捨てて、新しい燃料を入れ直しましょう。
- 2スト機では、必ずメーカーが指定する混合比を守ること。例:50:1(ガソリン5Lに対してオイル100ml)。
プラグ点検・交換
- 専用プラグレンチで取り外し、先端の電極にススや油分が付着していないかを確認。
- 点火テストを行い、火花がしっかり飛んでいるか確認。火が出ない場合は交換が必要です。
エアフィルター清掃
- スポンジタイプの場合は、中性洗剤で丁寧に手洗いし、完全に乾燥させてから少量のエンジンオイルを染み込ませて再装着。
- ペーパーフィルター式なら、強く叩かずにエアダスターで清掃するか交換します。もちろんだけど、エアダスターは内側から外に向かって吹いてね!
マフラー・防火網の清掃
- エンジン停止後、完全に冷めた状態でマフラーや防火ネットを確認。
- ワイヤーブラシなどを使ってカーボンの堆積や草の絡まりを取り除きましょう。
- 定期的に清掃しないと排気効率が悪化し、エンストの原因になります。
修理が必要なケースと対応の目安


以下のような症状がある場合は、自分で直すのが難しいことがあります。
無理せず、販売店や専門修理業者に依頼しましょう。
症状 | 自力対処の限界 | 修理推奨レベル |
プラグ交換しても火花が出ない | △(テスト機器がないと判別困難) | ◎(イグニッションコイル交換の可能性) |
燃料が漏れている | ×(劣化したホースやパッキンは危険) | ◎(部品交換が必要) |
始動はできるが回転が安定しない | △(キャブレター調整が必要) | ◯(整備士による微調整または交換) |
焼き付きのような異音がする | ×(使用継続で重大故障に) | ◎(エンジン内部の分解修理が必要) |
故障を防ぐための予防メンテナンス
- 作業後は、燃料を抜いてキャブレター内部の燃料も空にする「空運転」が理想的です。
- 冷却フィンや吸気口は毎回ブラシで清掃し、埃や草を溜めないようにします。
- プラグとエアフィルターは最低でも年1〜2回交換を推奨(使用頻度が高ければもっとこまめに)。
- 年に1回は整備店での点検を受けることで、早期に部品劣化や不調に気づくことができます。消耗品は定期的に交換しましょう。
まとめ|原因を知れば止まるトラブルは防げる
刈払機のエンジンが途中で止まってしまうと困りますが、その原因には必ず理由があります。燃料・点火・吸排気・冷却といった基本ポイントを押さえておくことで、突然のエンストにも冷静に対応できるようになります。
とくに2ストロークエンジンはシンプルな構造のため、点検・掃除・交換をこまめに行えば長持ちします。プロの使用者でも、故障の大半は初歩的なトラブルから起きています。
定期的な点検と適切なメンテナンスを心がけて、安全で快適な草刈り作業を続けていきましょう。
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