草刈機の刃が外れない?安全な交換方法を徹底解説【保存版】


目次

刃が外れないときの焦りと危険性

草刈機を使っていると、定期的に必要になるのが「刃の交換」です。しかし、いざ交換しようと思っても、ネジが固くてびくともしない、逆ネジなのか正ネジなのかもわからない…そんな経験はありませんか?

この記事では「草刈機の刃が外れない交換方法」という明確な悩みに応えるために、主な原因と正しい外し方、使うべき道具、やってはいけない対処法までを詳しく解説します。プロのメンテナンス知識をもとに、初心者でも安全に交換できるように構成しています。


草刈機の刃が外れない主な原因5つ(詳細解説付き)

  1. ネジやナットが経年劣化・固着している
    長年使用している草刈機では、金属部品が風雨や湿気にさらされることで、ネジやナットの隙間にサビや粉塵が入り込み、時間とともに固着します。特に屋外で保管していた機体や、年に数回しか使わない草刈機ではこの現象がよく見られます。固着が進むと、一般的なスパナでは力が足りず、無理に回すとネジ山が崩れてしまう恐れもあるため注意が必要です。
  2. 逆ネジ(左ネジ)を知らずに締め方向に回している
    草刈機の刃固定部分には、回転方向と逆方向に締める「逆ネジ(左ネジ)」が多く採用されています。これは回転中に緩まないようにするための安全設計ですが、知らずに通常の右回しで外そうとすると、かえって締め込んでしまい外れなくなります。取扱説明書やメーカーサイトで正ネジ・逆ネジの確認が重要です。
  3. 草カスやサビが詰まり物理的に固着している
    使用後に掃除をせず放置してしまうと、刃周辺に付着した草や泥が乾燥して硬化し、金属パーツの隙間に詰まる原因となります。これがネジ穴や軸部分に蓄積すると、通常の力では回らなくなるほど固着することも。交換前にはエアダスターやブラシで除去し、潤滑スプレーで柔らかくしてから作業を始めましょう。
  4. ロックピンや安全機構が未解除のまま回そうとしている
    多くの機種では、刃を固定しているナットを回すためには、軸が回転しないようロックピン(軸止めピン)を差し込む必要があります。これをしないままナットだけを回そうとすると、空回りしたり、内側のシャフトが共回りして力が逃げてしまい、外せない原因になります。安全装置が作動している状態では、物理的に回らない構造になっている場合もあるため、操作手順を確認しましょう。
  5. インパクトなど電動工具を使わず、手回しで限界を迎えている
    固く締まったナットやサビ固着している部品を外すには、手動スパナでは力が足りないことが多く、無理に力をかけると工具や部品の破損につながります。最近では、低トルク対応の電動インパクトレンチや、バッテリー式の軽量インパクトが家庭用にも普及しています。こうした工具を使えば、回らないトラブルも安全かつ効率的に解決できます。

引用:マキタ・共立・やまびこなど主要メーカーの取扱説明書(2024年版)、および農業機械整備士による整備ノウハウより


交換できない原因別・対処方法(詳細解説)

● 固着による回らない場合

  • 潤滑スプレーを使って溶剤を浸透させる:KURE5-56やラスペネなどの潤滑スプレーをナットやネジの隙間に丁寧に噴射し、10〜15分ほど放置します。サビの浸食が進んでいる場合は複数回に分けて浸透させると効果的です。
  • ナット周辺を軽く叩く:金属ハンマーで直接叩くと変形する恐れがあるため、布やゴムハンマーを使って軽く打撃を加えると内部のサビが剥がれやすくなります。強く叩きすぎるとシャフトを傷めるので注意しましょう。
  • 力を均等にかける回し方を意識:軍手や耐切創グローブを着用したうえで、スパナで左右交互にわずかずつ回すと徐々に緩むことがあります。片側に力を集中させず、軸を垂直に保ちながら回すのがコツです。

● 左ネジ(逆ネジ)を右回ししていた場合

  • 草刈機は左ネジが基本:回転方向に応じてナットが緩まないようにするため、一般的な回転草刈機では左ネジが採用されています。つまり、時計回りは締め方向、反時計回りが緩め方向です。
  • 回らないときは反対方向を試す:最初に右回しで回らなければ、一度逆方向(左回し)を試すと緩む場合があります。
  • 機種名で検索+PDF確認:メーカーの公式サイトで機種名を入力すると、取扱説明書(PDF)でネジ種別や外し方が図解されている場合があります。

下の画像は、締める際のネジの回転方向です!!
緩める際は、これと反対に回します。
つまり、逆ネジの草刈機は、外すときは時計回りに回すと緩みます

● 安全機構がロック中の場合

  • ナットが空回りしている=ロック解除忘れ:空回りの原因は内部の軸が一緒に回ってしまっていること。これはロックピン未使用の場合に起きやすい。
  • ロックピンを使用して固定する:草刈機本体にある小さな穴にピンを差し込むと軸の回転が止まります。ピンが見当たらない場合はマイナスドライバーでも代用可能です。
  • 解除後にナットを回す:ロックがかかった状態ではどんな工具でも回転力が逃げるため、必ずロック解除後にナットを回しましょう。

● 工具不足・トルク不足

  • 必要な工具のサイズを確認:草刈機のナットは19mm〜24mmが一般的。合わないサイズを使うとナットの角を潰すリスクが高まるので、事前に実測しましょう。
  • 電動工具があると作業が格段に楽:電動インパクトレンチ(HiKOKI・マキタなどの18Vモデル)は家庭用でも人気。トルク調整機能付きモデルなら過締めのリスクも抑えられます。
  • 手動の場合はテコの原理で対応:長めのスパナを使う、パイプで延長するなどして回転力を補う方法もありますが、力のかけすぎには注意してください。


絶対にやってはいけないNG行動(危険と失敗の回避ポイント)

  • 無理に力を加えてレンチやナットを破損
    固着して外れないナットに対して、力任せにレンチを使ってしまうと、ナットの角がつぶれたり、工具自体が破損してしまうリスクがあります。特に合わないサイズの工具や古くて精度の低いスパナは、滑ってケガをする恐れもあるため絶対に避けましょう。過剰な力を加える前に、潤滑剤やロックピンの確認など正しい手順を見直すことが大切です。
  • ハンマーで叩きすぎてネジ山を潰す
    ハンマーで直接ナットやネジを叩くのは、固着した部品を外すために一見有効なように見えますが、力の加え方を誤るとネジ山が潰れてしまい、完全に外せなくなる危険があります。また、金属同士の打撃で変形した場合、部品自体の交換が必要になることも。打撃が必要な場合はゴムハンマーやショックレスハンマーを使い、力加減に細心の注意を払いましょう。
  • 正ネジ・逆ネジを確認せずに力任せに回す
    草刈機の刃固定部分は逆ネジ(左ネジ)の機種が多いため、誤って締め方向に回してしまうと、ますます固くなり最悪の場合ネジの折損につながります。必ず機種の取扱説明書やメーカー公式サイトの情報を確認し、どちら向きに回すべきかを把握したうえで作業しましょう。初めての作業で自信がない場合は、同型モデルの動画やPDFマニュアルを事前にチェックするのが有効です。
  • ロックピンを使わず空回りさせる
    ロックピンを使わずにナットだけを回そうとすると、軸ごと空回りしてしまい、まったく力が伝わらないばかりか、内部シャフトの損傷やナットの摩耗につながります。ロックピンは作業を安定させるための必須部品であり、これを使わずに作業を進めるのは整備の基本を逸脱しています。ピンがなければマイナスドライバー等で代用してでも、軸を確実に固定してから回しましょう。

これらのNG行動は、草刈機の破損や思わぬケガの原因になりかねません。少しでも違和感がある場合は、一度手を止めて正しい対処法を再確認する冷静さが重要です。


刃が外れたあとの交換手順と注意点(詳解)

  1. 必ずスイッチ・電源オフ、またはバッテリーを外す
    草刈機のメンテナンスを行う際は、感電や誤作動によるケガを防ぐため、最初に必ず電源を切るかバッテリーを抜いてください。とくに充電式モデルでは、スイッチがONのままだと刃が急回転する危険があります。
  2. グローブを装着、刃を持ってケガしないように
    草刈機の刃は使用後でも切れ味が残っており、素手で触るとケガをする恐れがあります。必ず耐切創性のあるグローブを着用し、指先ではなく手のひら全体で押さえるように作業しましょう。
  3. 外した順に部品を並べておく(ワッシャー・ナット・カラーなど)
    刃の交換では、ワッシャー・スプリング・固定ナットなどの細かな部品が複数存在します。取り外した順番通りに並べておくと、再組立時に迷わず効率よく作業できます。小さなトレーやマグネット付きのパーツ皿を使うと便利です。
  4. 新しい刃を装着 → 部品を順に締め直し
    刃の向きに注意して本体にセットし、先ほど並べておいた部品を順に戻していきます。ネジは手締めで仮固定したのち、最後に工具を使って本締めしてください。締めすぎるとネジ山を損傷する恐れがあるため、適度なトルクで止めることが大切です。
  5. 最後に軸のロックピンを確認し、異音がないか試運転
    交換作業が終わったら、必ず軸にロックピンがしっかり刺さっているか確認します。装着が不完全だと刃がブレたり外れたりする原因になります。その後、安全な場所で1〜2分ほどアイドリング運転を行い、異音や振動がないかチェックしましょう。問題がなければ作業完了です。

よくある質問(Q&A)

  • Q. スパナが入りづらいときは?
    → 草刈機のナット周辺は狭くなっていることが多いため、標準のスパナでは角度が合わず入りづらい場合があります。そうしたときには、専用の薄型ソケットレンチや、首振り式ラチェットレンチが便利です。また、ディープソケットを使うことでシャフトの奥に届きやすくなります。手元の工具でうまく入らない場合は、工具店やネットで対応サイズを調べて購入するのもおすすめです。
  • Q. ナットが回るが刃が外れない?
    → ナットだけが回って刃が外れないときは、内部にサビがたまっている、またはシャフトの軸が変形・膨張している可能性があります。この場合は潤滑剤を追加で噴射して10分以上放置し、叩いて振動を与えながら回すと効果的です。それでも外れない場合は、軸部品の点検や交換が必要になることもあります。
  • Q. 自信がないときは?
    → 工具の扱いに慣れていない、刃の構造が複雑で不安、またはナットが破損してしまった場合など、自分で対応するのが難しいと感じたときは、無理せず最寄りの農機具販売店や修理専門店に相談してください。出張修理や店頭持ち込み対応を行っている店舗も多く、安全かつ確実にメンテナンスしてもらえます。

まとめとおすすめツール紹介

草刈機の刃が外れないというトラブルは、初心者から熟練者まで幅広いユーザーにとって身近な問題です。しかし、その多くは事前の予備知識と適切な対応方法を理解することで、落ち着いて解決することができます。本記事では「固着」「逆ネジ」「ロックピン未使用」「工具不足」などの代表的な原因を明らかにし、それぞれに対する実用的な対処法を紹介しました。

刃の交換作業は、単にナットを緩めて取り換えるだけでなく、正確なネジ方向の把握、安全装備の着用、ロック機構の解除など、複数の手順と注意が必要です。また、トラブルが起きたときに無理な力を加えず、潤滑剤や適切な工具を用いて慎重に進めることが、機械や身体へのダメージを防ぐコツでもあります。

安全かつ効率的に作業を進めるために、以下のようなツールの準備がおすすめです:

  • KURE5-56やラスペネ(潤滑スプレー):固着の緩和に必須
  • ラチェット付きソケットレンチセット:狭いスペースでも対応しやすい
  • マグネット付きパーツトレー:小物の紛失防止に便利
  • 耐切創グローブ:刃でのケガを防ぐ必需品

最後に、交換作業後には必ず異音・振動の有無を確認し、定期的に刃とシャフト周辺の清掃と点検を行うことで、トラブルの再発防止にもつながります。

草刈りの安全と効率を守るためには、正しい知識と日常的なメンテナンスの積み重ねが何よりも大切です。これからも安心して草刈作業に取り組めるよう、必要な道具と手順を身につけていきましょう。

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この記事を書いた人

私は業界大手の草刈機メーカーで14年間、カスタマーセンターに勤務し、ディーラーやエンドユーザーへの製品紹介や修理・メンテナンスアドバイスを担当してきました。現場で培った知識を活かし、各モデルの特長や最適な使用環境、トラブル解決策をわかりやすく解説。機械操作の基本から応用テクニックまで、初心者からプロまで安心してご活用いただける情報を発信します。趣味は庭いじりで年間数百平方メートルの芝生管理経験あり。各種エンジンオイルや刈刃の選定基準、トラブル時の対応、季節別メンテナンススケジュールも提供。ユーザー視点を大切に、役立つ情報を丁寧にお届けします。

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